あとがき JCHATプロジェクト:組織、活動、今後の課題 大嶋百合子 JCHATグループは、CHILDESに正確で質の高い 日本語のデータベースをつくり 上げることを、主要目標として1993年5月に結成された。この目標を達成するた めに、主として、次の三つの活動を行う。 (I)日本語の入力方式及び基準を解説したマニュアルを作成する、 (II)正確で信頼性の高いデータファイルが作成できるように種々の指導活動を する、 (III)日本語にあった分析プログラムを開発をする。 アンケート調査から、CHILDESに日本語のデータベースをつくりあげるためには、 日本語にあったCHILDESの入力方式 CHAT(JCHAT)を早急に確立する必要があるこ とが分かった。そこで、JCHATグループの発足以来、ローマ字による日本語の入 力方式の開発がJCHATプロジェクトの活動の中心となっている。このマニュアル の出版によって、(I)の目標は、ある程度達成されることになる。 今後は、漢字、仮名を用いたデータファイルの入力方式の開発を計画している。 (II)の指導活動については、有志メンバーによる個人的指導や、電子メールネッ トワークを利用した指導を行っている。1995年6月30日から7月2日までの3日間、 日本アップルコン ピュータ社の協力で、東京の千駄ヶ谷のアップルトレーニン グセンターで、CHILDES のデイレクターMacWhinney 氏 を迎えて、実技演習を含 めたワークショップを行う。これにより、多くのメンバーにデータの正しい入力 方法を、習得してもらうと同時に、有能な指導員を育てて、今後の指導活動に貢 献してもらう。 また、将来、指導センターを作り、CHILDES に提供されたデータファイルの検査 も含む組織的な指導活動を行うことが計画されている。(III) の日本語のための 分析プログラムの開発 については、既に、中氏が、 MacWhinney氏と協力して仮 名データファイルから、ローマ字表記へ変換、及び、ローマ字ファイルから、仮 名ファイルへの変換ファイルJCHANGEを開発した。現在、日本語の発話文を形態 素に自動的に分割するプログラムJMORを開発中である。2年以内に、 (1)JCHANGE, JMORプログラムの実用化、 (2) 漢字仮名混じり文のデータ ファイルをローマ字ファイルへ変換するプログ ラムの開発と実用化、 (3)異なる方式で入力された漢字仮名混じり文のデータファイルを、CHILDESのデー タファイル方式にあうように自動的に分かち書きするプログラムの開発と実用化 (たとえば、JUPITAとJCHATのトランスレーターの開発)、 (4)既にあるCHILDESの分析プログラムを、ローマ字ファイルに変換しなくて も、仮名ファイル や漢字仮名混じり文のファイルに直接使える様にする、 というのが、今後の主な達成目標である。また、日本語形態素自動分割プログラ ムJMORの開発に必要な日本語の発達測度に関する基礎的研究も計画されている。 以上三つの活動に加え、日本語の獲得及びそれに関連した文献をコンピュータ化 し、文献のデータベースを作成するグループを組織することも計画されている。 JCHATプロジェクトの指導のもとに作成された日本語のデータベース、分析プロ グラム、文献のデータ ベースは、他のCHILDES のデータベースやプログラムと 同様に、Carnegie Mellon大学のCHILDESにおさめられ、CD-ROMやインターネット などを利用して世界中のCHILDESメンバーに配布される。 JCHATの入会に関しては特に制限はなく、CHILDESを利用した日本語の発達研究 に関心があれば、そして、CHILDESのメンバーとしての基本的なルールを守るの であれば、誰でも入会できる。JCHATプロジェクトの活動のアナウスメントやメ ンバー間の情報交換は、JCHATプロジェクトの電子メールネットワーク (JCHAT-LIST)を通じて行う。CHILDESのCD-ROMは、原則として、CHILDES、 JCHATのメンバーには、無料で配布される。ただし、無断で、CD-ROMおよびその 一部のコピーを配布してはいけない。 CHAT/JCHAT、CLANプログラム、 CHILDESのデータベースを用いて論文を発表する 場合は、必ずその使用を明記する。たとえば、CHILDES一般については、 MacWhinney & Snow(1985)、MacWhinney (1995)を、このマニュアルを使用した 場合は、日本語では、大嶋、MacWhinney (1995)、 英語では、Oshima-Takane & MacWhinney (1995)を引用するとよいだろう。CHILDESのデータベースの引用につ いては、このマニュアルの第19章、英語のマニュアルの第25章を参照してほしい。 CD-ROMにはCLANプログラム、データベース、マニュアルが入っている。CHILDES か MacWhinney氏に連絡すると、無料で送られてくる。 CLANプログラム、CED、 データベース、マニュアルは、FTPで、カネギーメロン大学から直接取り寄せる こともできる。FTPの利用の仕方については、英語のマニュアルの25章に詳し く説明されている。CLANプログラムのバグレポートや問い合わせは、MacWhinney 氏、あるいは、中氏にしてほしい。 以下に、CHILDESプロジェクト、JCHATプロジェクトの連絡先を示す。 CHILDESプロジェクト 連絡先 Child Language Data Exchange System Department of Psychology Carnegie Mellon University Pittsburgh, PA 15213 USA email: childes@andrew.cmu.edu childes@andrew.bitnet Brian MacWhinney: brian+@andrew.cmu.edu FTP: poppy.psy.cmu.edu (128.2.248.42) JCHATプロジェクト 日本国外連絡先 Yuriko Oshima-Takane Department of Psychology McGill University 1205 Dr. Penfield Avenue Montreal, PQ H3A 1B1 Canada Phone: 514-398-4672 email: yuriko@hebb.psych.mcgill.ca 日本国内連絡先 Susanne Miyata 宮田スザンヌ Department of Communication 〒464 愛知県名古屋市 Aichi Shukutoku Junior College 千種区桜ガ丘23 23 Sakuragaoka, Chikusa-ku 愛知淑徳短期大学 Nagoya 464 Japan コミュニケーション学科 Phone: 052-783-0073 email: h44816g@nucc.cc.nagoya-u.ac.jp PBC 02454 (NIFTY-Serve) Norio Naka 中則夫 Department of International 〒564 大阪府 Kokusai Gakubu 吹田市岸部南 2-36-1 Osaka Gakuin University 大阪学院大学 国際学部 Phone: 06-381-8434 email: naka@lisa.lang.osaka-u.ac.jp PFE01216(NIFTY-Serve) JCHAT-LIST連絡先: Hiromi Morikawa-Paul Center for Life Span Studies University of Kansas Lawrence, Kansas 66045 USA Phone: 913-846-0528 email: hiromi@kuhub.cc.ukans.edu JCHAT-LIST: hiromi+jchat-list@kuhub.cc.ukans.edu 文献 MacWhinney, B. & Snow, C. (1985). The Child Data Exchange System. Journal of Child Language,12, 271-276 MacWhinney, B. & Snow, C. (1990). The Child Data Exchange System: Update. Journal of Child Language, 17, 457-472 MacWhinney, B. (1995). The CHILDES Project: Tools for Analyzing Talk.,Second Edition. Hillsdale, N.J.: Lawrence Erlbaum Associates. 大嶋百合子・Brian MacWhinney (1995). 「日本語のためのCHILDESマニュアル」 マッギル大学(英語の場合は、Oshima-Takane, Y. & MacWhinney, B. (1995). CHILDES Manual for Japanese. Montreal: McGill University). Sokolov, J. & Snow, C. (1994). Handbook of research in language development using CHILDES. Hillsdale, N.J.: Lawrence Erlbaum Associates. 日本語マニュアルと英語マニュアルの対照表 日本語マニュアル 英語マニュアル ------------------------------------------------------------------------- 第1章 トランスクリプト作成の方法 1 第2章 表記システムCHAT 2 第3章 ローマ字表記:ヘボンと訓令 - 第4章 ファイル・ヘッダー 3 第5章 分かち書き - 第6章 語をどのように転記するか 4 第7章 メイン・ラインに形態素をどのように表記するか 5 第8章 発話の区切り方と調子単位 6 第9章 語内の韻律 7 第10章 スコープ記号 8 第11章 ディペンデントティア 9 第12章 日本語のためのUNIBET 10 第13章 日本語のためのエラー・コーディング 12 第14章 JCHATファイルの具体例 15 第15章 JCHAT記号一覧表 17 第16章 CEDによる入力 - 第17章 JCHANGE - 第18章 日本語のスクリプト:文字体系 - 第19章 CHILDESのデータベース 25-31 第20章 CLAN入門 18 第21章 MS-DOS上でCLANを動かす場合 19 第22章 Macintosh上でCLANを動かす場合 20 第23章 プログラム 21 23.1 CED -- CHILDESエディター 21.1 23.2 CHAINS -- インタラクションコードを追跡 21.2 23.3 CHECK -- データ構造のチェック 21.3 23.4 CHIP -- インタラクションの分析 -- Jeff Sokolov 21.4 23.5 CHSTRING -- ファイル内の文字列変換 21.5 23.6 COLUMNS -- CHAT ファイルのコラム表示 21.6 23.7 COMBO -- ブール関数を用いた検索 21.7 23.8 COOCCUR -- 共起分析 21.8 23.9 DATES -- 年齢と日付の計算 21.9 23.10 DIST -- コードや単語間の距離 21.10 23.11 DSS -- 文発達指標 (Developmental Sentence Score) 21.11 23.12 FLO -- メインラインを簡素にする 21.12 23.13 FREQ -- 出現頻度計算 21.13 23.14 FREQMERG -- FREQ の出力ファイルを結合する 21.14 23.15 GEM -- 必要な部分にタグをつける 21.15 23.16 GEMFREQ -- 行動の種類による出現頻度計算 21.16 23.17 GEMLIST -- ファイル内のGEM分布の一覧 21.17 23.18 KEYMAP -- 偶然性の分析 21.18 23.19 KWAL -- キーワードと行 21.19 23.20 LINES -- 行番号を挿入 21.20 23.21 MAXWD -- 文字列の長さを検索 21.21 23.22 MLT -- 平均ターン長 21.22 23.23 MLU -- 平均発話長 21.23 23.24 MODREP -- ティア間の単語一致検索 21.24 23.25 MOR -- 形態素解析 21.25 23.26 PAGE -- ファイルを一ページごとに表示 21.26 23.27 PHONFREQ -- 音韻頻度分析 21.27 23.28 POSFREQ -- 位置頻度分析 21.28 23.29 RECALL -- コマンド登録とバッチファイル実行 21.29 23.30 RELY -- コードの信頼性を測定 21.30 23.31 SALTIN -- SALT形式のファイルを変換 21.31 23.32 SLIDE -- 時間軸に沿ってファイルを閲覧 21.32 23.33 STATFREQ -- 統計分析を出力 21.33 23.34 TEXTIN -- 通常テキストをCHAT形式に変換 21.34 23.35 WDLEN -- 単語長のグラフ 21.35 第24章 CLANオプション 22 第25章 プログラムのテスト、バグ、修正 24 25.1 CLAN のテスト 24.1 25.2 バグリポート 24.2 25.3 プログラム修正に関する要求 24.3 英語マニュアルの11、13、16、23、32、33、34章は、日本語マニュアルには含 まれていない。 著者一覧 Iwatate, Shizuo 岩立志津夫 Department Kindergarten Education 〒422 静岡市大谷836 Shizuoka University 静岡大学教育学部 836 Ohya Shizuoka-shi, 422 Japan E-MAIL: s-iwatate@ed.shizuoka.ac.jp MacWhinney, Brian Department of Psychology Carnegie Mellon University Pittsburgh, PA 15213 USA E-MAIL: brian+@andrew. cmu.edu Minami, Masahiko(南雅彦) Department of Human Development and Psychology Graduate School of Education, Harvard University 3rd floor, Roy E. Larsen Hall, Appian Way Cambridge, MA 02138 USA E-MAIL: MINAMIMA@HUGSE1. HARVARD. EDU Miyata, Susanne 宮田 Susanne Department of Communication 〒464 名古屋市千種区桜が丘23 Aichi Shukutoku Junior College 愛知淑徳短期大学 23 Sakuragaoka Chikusa-ku コミュニケーション学科 Nagoya, 464 Japan EMAIL: h44816g@nucc.cc.nagoya-u.ac.jp Morikawa-Paul, Hiromi(森川尋美) Department of Human Development and Family Life University of Kansas Lawrence, KS 66045 USA EMAIL: hiromi@kuhub.cc.ukans.edu Naka, Norio 中則夫 Department of International 〒564 大阪府吹田市 Kokusai Gakubu 岸部南 2-36-1 Osaka Gakuin University 大阪学院大学国際学部 EMAIL: naka@lisa.lang.osaka-u.ac.jp Ogura, Tamiko 小椋たみ子 Department of Human Development 〒657 神戸市灘区鶴甲3-11 Kobe University 神戸大学発達科学部 3-11, Tsurukabuto, Nada-ku Kobe-shi, 657 Japan EMAIL: ogura@icluna.kobe-u.ac.jp Oshima-Takane, Yuriko(大嶋百合子) Department of Psychology McGill University 1205 Dr. Penfield Ave Montreal, PQ H3A 1B1 Canada EMAIL: yuriko@hebb.psych.mcgill.ca Terao, Yasushi 寺尾 康 Department of General Education 〒420 静岡市瀬名2-2-1 Tokoha Gakuen College 常葉学園短期大学 2-2-1 Sena Shizuoka-shi, 420 Japan 教養教育科 EMAIL: qzm05275@niftyserve.or.jp